2007年7月22日 中東  ヨルダンより   死海はしょっぺーそして僕はしょんべんくっせー

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目が覚めても、僕はベットから起きることができなかった。

布団にくるまって震えていた。


怖い夢だった。

とても怖い夢だった。


東大を自分の身勝手な都合で離れた僕には、もはや、東大にいる資格は存在しなかった。

僕にはもう一度入学試験が課された。

もう一度あの壮絶なる試験を突破しなければならない!?

しかし、僕には十分すぎるほどわかっている。

あの時は、たまたま運が良かっただけなのだ。たまたまのたまちゃんだったのだ。

僕は、勉強しているふりをして、ずっとオナニーしていただけだったんだ。
僕には、ほんとは相応しい実力なんてものは無いんだ。
頭の良いふりをしていただけの、ただのちゃらんぽらんなんだ。
あれは、運がよかっただけなんだ。
もう一度、あれを突破しなければならないなんて、、、
絶対に不可能だ!!!!

どうしよう。。

どれだけ勉強すればいいのか、途方もつかない。

もう、数学も理科も地理も、みんな忘れてしまった。

いったいどこから始めればいいんだ!!!

そしてどこまで!!!

想像もつかない。

僕は焦る。

机に向かう。

しかし、手が振るえ教科書すらうまくめくることができない。

恐怖に支配された僕の頭の中には、何も入らない。

ただ、時間だけが高速で過ぎてゆく。

さらに焦る。

そしてさらに焦る。

最悪の循環。

僕の友人は華やかな未来へと進んでゆき、僕だけが一人取り残される。

楽しい町内会のお祭りにみんなでかけてしまったのに、僕だけ取り残されて一人ぼっち。

彼らに追いつくためには、もう一度仲間に入れてもらうためには、是が非でも東大に合格しなければならない。

失敗はゆるされない。

幸せは、合格の先にしかありえない。

失敗したときに待っているのは、底の無い不幸だ。

でも、僕にはわかっている。

絶対に無理なんだ。僕にはそんな頭も力もないんだ!!

それでも勉強しなければならない。

不可能のために、努力しなければならない。

逃げられない恐怖。

骨まで凍りつくような恐怖。



ベットで震えながら気づいた。

東大っていうのは、いつの間にか、僕の居場所になっていたんだ。

ほかの何を失っても、それだけは最後に残ってくれる僕の居場所。

それがあったから、僕はこうして、平和に、不安も感じずに、旅をしてくることができたんだ。

僕は、僕の居場所に、そこにいる友人たちに、守られていたんだ。

僕は、やっぱり、一人で生きていけるほど強くないんだね。

僕には、安心して帰ることのできる居場所が必要なんだ。。。

僕はまだまだ、おこっちゃまくん。


目覚めた僕は、死海に行った。

そこは地上でもっとも低いところにある地上。

浮くとか、浮いて本を読むとかそんな余裕はまったく無かった。

ちょびっついて、飛び込んで目に入った海水は、硫酸か!?

そのしょっぱさは、塩のびん一本飲み込むのに等しい。

とても、生命の存在できる場所ではなかった。。。


そんな僕は、まだまだ、おこっちゃまくん。

今でも、たまに夢を見る。

入試に落ちて、大学に入れなかった夢。

単位を取るのを忘れていて大学を卒業できなかった夢。

あまりにもリアルで、怖い夢。

起きたら、たくさん汗をかいていて、

それが夢だったことを確認し、心底安堵する。

そんな夢は、大学のこと以外あまり見ない。



僕は、深層心理で自分が東大にちゃんと入って、ちゃんと卒業したと信じていない。

本当は入学できてもいないし、卒業できてもいないのではないか。

そう思っているのだと思う。

実際のところ、在籍中はほとんど大学にいなかったから、
大学時代の記憶があまりない。

ほんとに僕はどうやって卒業したのだろうか。

まじで卒業していないんじゃないか?

世界を旅していた頃、僕にあるアイデンティティは、東大生ということだけだった。

思いの外、僕はそのアイデンティティを大切にして、しがみついていた。

だから、こういう夢をよく見た。

そのアイデンティティは確かに、最後には頼れる居場所として、
なんとなくいつも自信を与えてくれていた。

少なくとも東大っていう肩書はあるから、
ちょっとこんな挑戦してみるか、あんな挑戦してみるか、
全て失っても、僕、一応、東大生だから。

そうやって生きてきたんだと思う。

東大出身。

大企業に勤めていた頃は全く役に立たなかった。
特に僕は海外にいたから、日本の最高学府は大して意味を持たなかった。

でも、田舎に戻ってきて、この肩書は、今でも活躍してくれている。

東大は一番コスパがいい資格だと思う。

赤い砂漠 ワディラムを旅した
なぜここに来たのか、どうやってきたのか不明だが、旅した
一緒にヨルダンとシリアを旅したモニカは芸能人だとかいう話
しょっぱすぎてマジ死ぬ。死海。

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