2007年3月11日 中国 上海より 愛をこめて 2

世界一周ブログ
>1の続き

僕とワンサくんは南京路のベンチに腰掛けて煙草を吸いながら話をした。

中国には上海を除いてナイトライフを楽しめるような街はなく、ワンサくんは上海が大好きらしい。

上海の女は300元。南京路の周りの女の子が接客しているようなBARはぼったくりBARが多く、知らずに入るとすっからかんにされてしまう。中国人の貧乏な人が集まるような飲み屋は上海にはなく、そういう人はお酒を飲まない。南京路を歩いている中国人は地方から来たおのぼりさんばかりでみんなダサい。旅行者はみんな楽しいところを知らないから新天地に行く。あそこは高いしつまらない。そうだったろ?ぽんびきには良いぽんびきもいるし、悪いぽんびきもいる。どこの国でも同じだ。でも上海にはもうマフィアはいなくて、ここは平和な街だ。

ワンサくんはいろんな話をしてくれた。

ワンサくんは32歳で、南京路の近くに自分の部屋をもっているらしい。1200万元だったというから驚きだ。父はシンガポール人でシルク貿易のビジネスをしており、母は中国人。部屋は父が買ってくれたものだそうだ。つまり、ワンサくんはおぼっちゃんなのだ。昼間は普通の仕事をしていて、夜はこのように趣味でぽんびきをしているという。

一人でいるのは寂しいから今日は君にあえてうれしい。友達をつくるのは好きだ。
ワンサくんは言った。

ワンサくんは中国語、英語ができて日本語もかなりしゃべれた。5、6年前池袋の専門学校に留学していたのだそうだ。池袋ということで、僕は彼にとても親近感を覚えた。

[あなた面白い人ね。今日は友達ができてうれしい]

ワンサくんは本気で僕を友達として認めてくれたらしく、それからは彼のガイドによる上海ナイトライフ観光だった。私いるから大丈夫。といってまず、ぼったくりマッサージ店のなかに連れていってくれた。
入り口には長椅子があり、そこには年頃の女の子がずらりと座っていた。中にはステージの上で女の子の一人が歌っており、それを取り囲むようにしてテーブルとソファーが並んでいた。客もちらほらと入っていた。ステージと反対側の奥には板で簡易な仕切りが設けられており、その裏側がマッサージルームだ。

帰りのエレベーターを待つ時、ひとりの女の子と目があった。素朴で可愛い女の子だった。僕に笑顔を投げかけてくれた。少し照れてしまったけど、僕も笑顔を返した。

[あそこの部屋はマッサージだけね。もし寝たかったら、ホテルじゃなきゃだめよ。でもドミトリーは女の子来てくれないよ]

あの子も男と寝る仕事をしているんだな。僕は少し複雑な気持ちになった。

もしよかったら飲みに行こうと誘ってくれたので、予定もなかった僕はついて行くことにした。

ワンサくんが連れて行ってくれたのは上海中心部からタクシーでもかなり走った東の方にあった。そこには外国人の観光客は一人もおらず、地元の若者が集まって楽しそうに踊ったり酒を飲んだりしているクラブだった。
まさに僕の求めていた場所だ。

女の子がカウンターの上で激しいダンスをしている。
奥の個室では薬をやってる奴らが気持ちよさそうにしている。
変なギャルやギャル男がいないぶん日本のクラブより居心地がいい。
僕は一瞬でこの場所が気に入った。

上海のクラブは2時でおしまいらしい。あっという間に時間が過ぎてしまった。

ワンサくんが自宅へ招待してくれた。

タクシー代や酒代を彼はすべておごってくれていたので、いくら感謝しても足りないくらいだ。

彼の部屋はとても広かった。ゆったりとしたリビングがあり、その他にシステムキッチンと部屋が3部屋あった。東京でもこんな部屋に住んでいる人はそうはいない。

酒を飲みながらとりとめのない話をしていたら、どういう流れか一緒にエロDVDを観ることになった。ブラックマーケットで買ったやつだそうだ。

ワンサくんの大きなダブルベットで煙草を吸いながらヨーロッパ人がセックスしているのをふたり並んで観た。

ワンサくんがビールを勧めてくれた。しかし、もう飲み過ぎでお腹がパンパンだ。

[もう飲めないよ]

[だいじょうぶ?お腹]

ワンサくんは僕のお腹に手を置いた。

[疲れたでしょ。マッサージマッサージ]

僕の太ももをなめらかな手つきで触りながらにじりよってくる。

[酔払っちゃった。わたし]

そうしてワンサくんは僕に身体をあずけた。


歩き方や身ぶりからもしやとは思っていたが。。。

膨張していた股間が一気に収縮した。

さて。どうやって彼の心を傷付けることなくこの状況を脱出しようか。

僕の頭はフル回転した。

今までよくしてもらって彼の気持ちに沿うことができないのは非常に申し訳ないが、ここで処男膜を彼に破られるわけにはいかない。

[このAV飽きたな]

[そう?じゃあ他のにしよう]

今度のはアメリカ人ものだ。

車から降りるやいなやすぐに男女が重なり合う。

ちがう。こんなものをもう一本見ているほど悠長なことはしていられない。

[俺、帰るよ。明日の予定に差し支えるから]

[でも、タクシー高いよ?5時になれば安くなる。泊まっていきなよ]

[いいんだ。ホテルもせっかくとってあるんだし]

[そうか、君次第だよ。わたしは君に嫌われたと思う。
君は女の子が好きだ。
でもわたしは男と寝る]

[そうじゃない。僕はセックスが嫌いなんだ。男とも女ともやりたくない。コンプレックスなんだ。今日は君に会えてよかったよ。また連絡しても良いかい?]

[もちろんだよ。わたしも友達ができてうれしかった。忘れ物をしないように。タクシーをつかまえてあげるね]

ワンサくんは最後まで紳士だった。

自分が女の子にセックスを求めて、それを断られた時のことを重ねると、彼の落胆は僕の落胆になりとても心が痛んだ。

タクシーのなかで僕はとても悲しかった。

彼はいいやつだった。とてもいいやつだった。

ただ、僕には彼への恋愛感情はなかった。それだけのことだった。

こんな形で終わりたくなかった。

僕は静かに目を閉じて、自分の思考も遮断した。

今も、ゲイは苦手だ。

ゲイの中には、僕を狙ってくる人が多いから。

基本的に、僕は狙われるより狙う方が好きだ。

モテる女の子の気持ちが、少しわかる。

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