宿泊業界は革命が起きていて、
宿に行けば誰か人が待っているのが当たり前だったけど、
今では人件費を極力減らすことが勝負の鍵になっている。
別にホテルの受付カウンターに人など必要ない。
人を減らせば収益性を高めることができる。
だから、従来の有人型宿泊施設が運営コストで苦しんでいる中、
無人型の民泊や簡易宿泊所は儲かり、続々と建設されている。
スタッフが現地に必要ないから。
有人宿泊施設と無人宿泊施設は運営方法が全然異なる。
で、ねっぱんっていうのは有人宿泊施設向けに作られたサイトコントローラーなわけです。
だから、無人宿泊施設にとっては非常に使い勝手が良くない。
いいところも、もちろんある。
ねっぱんのいいところ
・ユーザーインターフェースは、まあまあ見やすい。
・接続できる予約サイトが多い。
・値段は競合他社と比べるとちょっと安い。
・電話すると色々教えてくれるのでカスタマーサポートが得やすい。
・シーズナリティ(例えば、平日、週末といった価格設定のグループ)を変えることですぐ料金を調整できるのは良い。
有人施設向けっていうのはどういうことかというと、
予約サイトはとりあえず予約だけ取って、客を施設に送り込んどけばなんとかなると思っている。
ねっぱんも同じコンセプトで、
・ダブルブッキングが起きないように部屋数を管理すること
・複数予約サイトの価格を一度にコントロールすること
基本的にはこの2点の機能しか備えていない。
ねっぱんのダメなところ
1。ゲストと連絡をとりあう手段がねっぱん上にない。
ねっぱんでは予約の確認はできるけど、
カスタマーサポートは全く別のツールを使って行う必要がある。
予約サイトごとにそれぞれ個別の連絡方法でコンタクトを取るしかない。
これが結構めんどうくさい。
無人宿泊施設にとっては、到着前のお客さんと如何に連絡を取り、事前準備をしておくかが肝である。
有人宿泊施設は到着前のお客んさんと連絡取ることはなく、到着してからが勝負である。
なので、あまりこういうことを考える必要がなかったのだろう。
2。一棟貸しの宿泊施設としては月額料金が高い。
ねっぱんは有人宿泊施設、ホテルや旅館のような施設で使われることを意図しており、そうした施設一棟として月額料金が定められている。月額料金は部屋数によって段階的に変わる。
一つの施設が複数の部屋を提供していて、それぞれの部屋に対して予約管理が必要となる場合、ねっぱんは割安な選択肢となる。
一方で、一棟貸し宿は売り出す商品が建物一戸、1部屋しかない。
このような施設だと単純に割高になる。
3。施設ごとに異なるエアビーアカウントを作らされる。
複数の民泊物件を所有し、運営しているホストは一つのエアビーアカウントに複数物件を登録し、管理運営している。これは当たり前のことである。
では、ねっぱんを利用して、これら複数物件をエアビーに加えてBooking.comやVacation Stayでも売り出そうか、という段階になると、全く意味わからないことを求められる。
建物一個一個が、ねっぱんでは別アカウントとなるので、それぞれ別のエアビーアカウントを作れ、と言われるのだ。
一つのエアビーアカウントをせっせと育てて、レビューを貯めてきたオーナーは、そのレビューを捨て新しいアカウントを作り、物件を登録し直さなければ、ねっぱんでマルチチャネル販売を始めることができない。
運営を始めてからも結構面倒臭い。エアビー側で個別の設定をしようとしたら、それぞれのアカウントをログアウト、ログインして切り替え、操作しなければならなくなる。
4。各施設の予約確認も面倒臭い。
一応、マスターアカウントを持つことができ、ぶら下がってる複数の施設の予約状況を確認することができる。しかし、一つの画面では確認することができない。
毎回、施設ごとにページを切り替えて予約状況を見る必要がある。
これが、たくさんの施設を運営していて、毎日の作業になると、結構面倒くさくなる。
値段は高い、仕事はしにくい、ねっぱんに合わせるための人的コストや機会損失が生まれる。
民泊管理業をして、たくさんの無人宿泊施設を管理する会社にとって、
ねっぱんというソリューションは全く利用すべきではないツールであった。
今では、もっと安くて、もっと欲しい機能を備えた別のツールが存在している。
ねっぱんは民泊管理業に向けたサービスに完全に対応し損ねた。
得られた利益を失い、有人宿泊業界自体は縮小傾向と予想するので、
今後も成長は見込めないだろう。
他のサービスにシェアを奪われることは目に見えている。
ねっぱんの未来はまあまあ暗い。
契約を途中解約しても、契約期間の残り分の料金は徴収させる。
その不利益を受け入れてもなお、ねっぱんから早く脱出したかった。
解約は申請すれば、ものの数日でできた。
もちろん、有人の宿泊施設では引き続き ねっぱんのお世話になります。
ただ、無人の方で、ねっぱんを使うことはもうないと思われる。
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