ぼっとん便所って田舎でも結構レアな存在になってきてる。
河口湖エリアでは、溜まった汚物をバキュームで吸い出してくれる業者が、
僕らが知る限り1社しか残っていない。
その1社は引っ張りだこで結構忙しいので、呼んでもすぐ来てくれるとは限らないし、
段々と値段が高くなってきている。
昔、僕が子供だった頃はバキュームカーが沢山街を走っていた。
バキュームしている光景もよくみた。
その臭さが今となっては懐かしい。
今、バキュームカーなど滅多に見かけないレア物である。
バキュームのデメリットは、定期的にバキュームしなければならないこと。
恐ろしいのが、豪雨なんかで汚物溜まりの中に水が入ると、
ファーっと汚物混合水が溢れ出てくる。もちろん臭う。
ぼっとん便所のデメリットは、臭い。
僕らが一番始めに作った宿は、ぼっとん便所だった。
ぼっとん便所でも、今時、穴がまる開きで、下に落ちちゃうようなヤバいのは絶滅したのではないか。
ぼっとんでも、少し水洗っぽい感じのトイレにすることはできる。

このタイプの便器では少量の水を一緒に流して、水洗かのように振る舞う。
しかし、その本性はぼっとん。
やっぱり汚物が下に溜まっているので臭う。
それでも、僕らが宿を始めた頃は、この辺りに一棟貸し宿などほとんどなかったので、まったく問題なくお客さんがきてくれた。
流石に、このコロナ時代で、これはマズイよなーと思って、
かなりお金はかかるのだけど、直すことにした。
一番良いのは下水に通すこと。
でも、残念ながら、河口湖町は下水が通っていない地域の方がまだ多い。
みんなが水洗にできているのは、地下に浄化槽を埋めているから。
浄化槽を埋めて、水洗トイレにするには一軒家でざっと200万円くらいかかる。
それなりの費用なので、土地や中古物件を買うとき、下水か浄化槽かボットンかをチェックするのは必須項目。

結構な穴を掘って、浄化槽を埋める。


家の周りでこの姿を見かけたらそれは浄化槽。
浄化槽は定期的に洗浄しなければならないメンテの手間がかかる。
みんなあまり意識していないかもしれないが。
浄化槽ができたら、これと全ての排水管を接続して、
トイレを水洗に取り替えたら完成。

快適な最新トイレになった。
しかし、しばらくすると、お客様から猛烈な臭気が漂ってくると苦情がきた。
高い金払って、ボットンから浄化槽に変えたのに、臭いで文句を言われるなんて、
絶望、、、。
その匂いは、台所、お風呂場、全ての排水が繋がるところから漂ってくるという。
なぜ。。。
2棟をボットンから浄化槽に交換して約400万円。
400万円かけて、エアビーのスーパーホストを失いかねない大ピンチ。
スタッフが宿に行って、あらゆる消臭用品をぶちまけるも、
全く無力。
最悪のレビュー、星1をつけられてしまう。
浄化槽。
信じていたのに、どうして。。。。どうして。。。。
水道屋に聞いたところ、原因は単純だった。
浄化槽は、電気がなければ、死んでしまうのだと。

ブロワーを電気で動かしてないと、微生物に空気が送り込まれなくて、死ぬらしい。
電気付けないと、働いてくれないなんて知らないよ。
多分みんな知らないよ。知らずにその分電気代払ってるよ。
頼むよ。。
ちゃんと電気付けといてよ。。。水道屋。。。
お陰で、大切な教訓を得た。
浄化槽は電気ないと死ぬ。
数日したら、微生物が復活したらしく、宿から臭気は去っていった。
400万円が無駄じゃなくてよかった。
コメント