さあ、どう立て直す??

経営のこと

結構経営が大変なことになっている小さなホテルがある。

多少、年季は入っているけど設備はそこまで悪くない。

お客さんもそこそこ入っているように見える。

何がダメなのか。

まず、そこからしてよくわからない。

なにしろ会計なんてちゃんとつけていないから。

決算期が終わって2ヶ月後が税金の申告期限だけど、

だいたい直前になって慌ててつける。

売上も、経費も、その時に記録が残っているものしか付けられない。

でも1年も前の記録なんてほとんど残っていないし、

残っていたとしてもどこに証憑書類があるかわからない杜撰な書類管理。

家族経営のような会社なので、

個人の支出と会社の支出もごちゃごちゃになっている。

会社が稼ぎ、余ったお金は家族の誰かが取ってどこかに消えるので、常に会社の口座はすっからかん。

でも、そのホテルは潰れず生き延びてきた。

こんな家族経営の会社は世の中に結構多いのではないかと思う。。

よくわからないけど、人間ってなんとなく騙し騙し生きていけるもの。

ホテル需要には繁忙期と閑散期がある。

GW、夏休み、シルバーウィーク、年末年始は多少稼げる。

でも、繁忙期に残ったお金も遅延していた何かの支払いに使ってしまうので貯金はできない。

閑散期は例外なく支出のほうが多い。

お金が稼げない。足りない。

足りないお金を補填するために、銀行から個人保証をつけ、抵当をつけ、借金をしてしのぐ。

銀行への借金返済のために更に銀行から借金する。

銀行が会社に貸してくれなくなったら、個人で銀行から借金してしのぐ。

銀行が個人にも貸してくれなくなったら、消費者金融から借りてしのぐ。

それでもダメなら友人、親族に頼み込んで借りる。

そうやって足りないお金を埋めてきた。

だから、そのホテルはキャッシュが殆どないにも関わらず、

とっくに債務超過にも関わらず、

自転車操業でやってこれた。

でも、最後には消費者金融も貸してくれなくなる。

親族には見放される。

経営者はブラックリストに載ってカードも作れなくなる。

追い打ちをかけるように積み上がった借金や利子の返済が膨れ上がる。

じわじわと真綿で首を絞めるように、茹でガエルのように、死が迫ってくる。

経営者の家族はどこまで自分が追い詰められているのかわからないくらい借金に慣れ、感覚が麻痺している。

お金が無い。

飯を食う金もない。

水道光熱費すら払えない。

銀行に返済する多額の金なんて、用意できない。

その時、会社は潰れる。

資産をすべて銀行に持っていかれ、残った負債は個人保証のついた経営者が背負うことになる。

それだけじゃない。

自分名義の借金の返済義務もある。

家族は自己破産をすることになる。

連帯保証人になっていた親族も自己破産することになる。

明日にも潰れておかしくないホテルの、ここがスタート地点。

大体売上は数千万円で、ホテルの資産は減価償却が進んで億円程度、

債務超過になって久しいので、負債は資産よりもずっと多い。

客室数は10程度のホテルの規模としては小ぶりで、ペンションと言ってもいいサイズ。

このサイズがどういうレベルか想像するのは難しいかもしれない。

簡単にいえば、年収1千万円のサラリーマンが、その稼ぎでギリギリ救えるレベルのサイズ。

例えば1億円の借金があり、利息が5%だとしたら、年間の利子は500万円。

借金元本の返済額も同額として500万円。

元本と利子の返済総額が1000万円。

一方で売上はゼロというわけじゃない。売上から原価や販売管理費、税金を引くと年間500万円くらいは残る。

1000万引く500万で、ざっくり年間のキャッシュ不足は500万円という計算になる。

年収1千万円のサラリーマンの手取り額は700万円強。

エリートサラリーマンが月15万円で生活すれば、なんとか捻出できる額。

たかが年間500万円。されど年間500万円。

経営者はある時気づく、これは一年の話ではない。

これからも毎年毎年積み上がっていくのだと。

2年で1000万円、3年で1500万円、4年で2000万円。

絶望的な未来を見たとき、500万円は人を殺すのに十分な額になる。

500万円は人を殺しうる。

助けてください。

ホテルの損をこれから毎年ずっと引き受けてください。

1億円の借金も全部肩代わりしてください。個人保証も引き受けてください。

その代わり、利益が出たら差し上げます。

このホテルの経営を立て直してください。

そう言われたら、あなたならどうする?

まあ、まず受けないよね。

その先に待っているものは地獄でしか無い。

もちろん、ただ損をダラダラ払い続けるのでは意味がない。

しっかりと利益を生み出して、稼げるようにしなければならない。

でも立て直したところで、夢を見れるようなリターンなんか期待できない。

小さな商売。小さなハコ。

ホテルに限らず、こういう死にそうなちっぽけな会社や事業はゴロゴロ転がっていると思う。

借金をするのは簡単。だけど、返すのは地獄。

限界利益率: (売上ー変動費)÷売上 

限界利益率を4割としたら、100万円を手元に残すには250万円の売上を稼がなければならない。

250万円といったら年商数千万円のホテルでは1ヶ月分の売上である。

借金100万円を返すのすら全然簡単じゃないのだ。

ましてやそれが1億円だったら?

2億5千万円

借金を返すためだけ、それだけでも2億5千万円を売り上げないといけない。

追い打ちをかけるようにその借金にはどんどん利子が積み上がって、

更に経費が毎年2千万円以上かかる。

絶望。。。

申し訳ないけど、打つ手はありません。

ただ静かに、死を待つのみです。ちーん。

お医者さんだったらそう言う。

そんな小さなホテルを立て直すための奮闘の話。

利の無い話。

ただ、そのホテルの料理は間違いなく町で一番美味しくて、

そこで働いている人たちは良い人ばかりだった。

そして、そのホテルには家族の思いが詰まっていた。

別にボランティアとかいう大義なものではない。

ただ、やれることをやったらどうなるのか見てみたかった。

自分のチカラがそういった会社を変えることができるのか、興味本位。

でも、やるからには真剣にやる。

とことん付き合う。

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