山梨といったらワイン。
オーベルジュマーメイドはフレンチ料理のレストラン。
フレンチを食べたら、ワインを飲みたくなる。
山梨にせっかく来たんだから甲州ワインを飲みたいに決まっている。
ワインっていうのはホントよくわからない。
無数にあるし、
産地、ぶどう品種、ヴィンテージ、作り方、保存状態、更に注ぎ方、飲むまでの時間、温度、グラスの形、いろいろな要素が影響する。
神の雫みたいな人は現実には存在しない。
よくわからない。選ぶの面倒くさい。
けれど、せっかく飲むのなら美味しいものを飲みたいし、楽しみたい。
料理に併せてレストラン側があらかじめ選んで提供してくれる、
ワインのペアリングコースはもうありふれているけど、
必然的で、永続的なニーズである。
マーメイドにはそれがなかった。
なので、それを用意した。
僕らは山梨人なので、フランスや、イタリア、新世界みたいに遠くのことは本の中の知識である。
もちろんワインは買って飲むことはできるけど、肌感覚でそれが持つストーリーを感じるには無理がある。
僕ははるか遠い土地の土壌やら土地に精通するのも、ちょっと頭でっかちでイケてないと思う。
どーせわからないワイン。無数にあって選びきれないワイン。
別にソムリエなんかになりたいと思っていない。
なら、割り切って甲州ワインに絞ろうと決めた。
甲州ワインに精通して、甲州ワインから料理に合うものを選ぶことにした。
仕入れは容易である。山梨ならどこでも甲州ワインは買えるし、ある程度の量を買えばワイナリーさんが配達してくれる。
想像でなく、リアルなワインがそこにある。
土地のことを知りたければ直ぐにぶどうが生えているところまで行けるし、
仲良くなったワイナリーさんでは、製造中の状態も見せてくれる。
なによりそこに人間関係があるのが面白い。
ペアリングを出すことにはメリットもある。
複数のお客さんにその日のおすすめワインを提供するので、
一度に空けるボトルの本数を減らすことができる。ロスが少ない。
これによって色々なワインを揃えておくことができるようになった。
ワインをより最適な温度で楽しんでもらえるよう、
かつ良い温度で保存できるようにワインセラーを用意した。
ワインを揃えているお店であることを視覚でも楽しんでもらえるように、
大きなワイン棚を特注してレストランに設置した。
ペアリングコースの評判は上々である。お酒の売上は上がった。大体1.5倍に上がった。
甲州ワインのデメリットは、高いこと。。。
品質と値段を比べた時、やっぱりコスパが良いのはイタリアとか新世界のワインになってしまう。
甲州ワインでペアリングコースを出すとしても、そんなに高い値段を設定することはできないので、たくさん売っても利益率は高くない。それでもお客さんの満足度が向上するのはレストランにとって長期的にプラスなので、良いと判断している。
あと、甲州ワインは赤が弱い。だいたいマスカットベリーAやブラッククイーンといった国産品種で作られているのだが、全体的に薄いライトボディが多い。これが飲みやすいという人も多いけど、もちろん重いのが好きな人もいる。特にワイン好きにフルボディ好きは多い。
しっかりとしたフルボディで重みのある赤ワインを山梨で見つけるのに、とても苦労している。
というか、そこはほぼ諦めている。
そういうのを求めるお客様には特別に用意してある海外のワインをお勧めしている。
フルボディでどっしりとした赤は、もはや甲州ワインではない。。。
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