持ち家か賃貸か

不動産業のこと

社内で研修をしている。

第一回は、MBAで学んでいる科目を紹介して、お金とは何かについて話した。

第二回は、会社の起源と会社とは何かについて、みんなの意見を共有した。

第三回は、会計について勉強した。

会社のお金の出入りは、家計のお金の出入りと似ている。

家計のお金の稼ぎ方、お金の使い方から、

会社の損益計算書、貸借対照表を学んだ。



第四回は、ケーススタディをすることにした。

持ち家か、賃貸か。

誰にとっても興味のある話題。

そういう話題を使って学びにつなげることが狙い。

田舎に住む人にとって、持ち家を買うことは都会以上に既定路線。

皆、結婚したら当然のように家を買う。

なぜ、家を買う必要があるのか?

持ち家か、賃貸かを考えることを通して、

分析力、論理的思考力、意思決定力の必要性を学ぶ。

加えて、数字を使って議論することの大切さを知って欲しいと思った。

持ち家を購入することにかかる月額費用、トータルの支出。

賃貸で生活することの月額費用、トータルの支出。

それぞれを計算する。

そこにはあんまり大きな差がないことがわかる。

社員のみんなが、持ち家を欲しいという意見で、

最後までその意見は変わらなかった。

なぜ、みんな持ち家を買いたいと思うのか。

1。デザインが自由

2。庭が欲しい。

3。落ち着く

4。ステータス

5。音を気にしなくていい。

そんな意見がちらほら出た。

僕は、持ち家を買うことは魅力がないと思っていた。

経済的な得はあまりないので、

家が好きでなければ持つ必要がないと考えていた。

でも、学ぶ中で、2つ、明確な理由がないでもないと思った。

1。持ち家の方が月額同じ負担で広い家に住める。

賃貸は圧倒的に間取りの選択肢が狭まる。

田舎でも広くて2LDKがほとんどで、3LDKはあまりない。

一戸建ては賃貸としての流通量が多くない。

だから、広い家に住みたいと思ったら、家を購入すべきという選択になる。

2。老後に賃貸は借りにくい。

老人はいつ死ぬか分からないので、事故物件になるリスクが高まる。

それを毛嫌いして、賃貸契約を結びたがらない大家がいるのは仕方ない。

歳をとると、賃貸しずらくなる。

肩身の狭い思いをして賃貸するくらいなら、持ち家で堂々と暮らしたい。

その気持ちはわかる。

皆、3000万円の借金をする。

ということの重みをあまり意識しない。

金を持っているなら、どのようにその金を使おうが自由。

家が欲しいなら買えばいい。

でも、金がない状況で家を欲しいなら、借金をして買うことになる。

その瞬間に、その人は会社と銀行の奴隷になる。

30年間。休まず、働き続ける奴隷としての人生を約束することになる。

奴隷は働くことが当たり前と思っているかもしれない。

でも、世の中、別に働かなくたって生きていける。

金を使わず、着の身着のままテキトーに生きていくことだってできる。

そういう選択肢を、その瞬間失うことになる。

自由を失う代償。

それを軽々しく放棄できることは、未だに理解できない。


社長は、賃貸を選択し、なぜその選択肢がいいかを説明した。

特にリスクの部分に触れて。

しかし、そのことを本当の意味で理解しようという社員はいなかった。

説明してもそれなら、別にそれでいい。

そっちの方が、会社にとっては得なので。

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