モルガン・スタンレーにインターンした時の話 2

リーマン時代のこと

インターンに一緒に参加した人たちの中で、

一人だけ覚えている人がいる。

ふっくらした猫みたいな女の子で、

確か、少しだけ仲良くなって一緒に飲みに行ったりもした。

就活生同士の出会いといったら青春っぽいけど、

何せ僕はやる気が無さすぎる奴だったので、

多分その子からもダメ男の烙印を押されていたと思う。

だから、特に何にも関係は進展せず終わった。

最悪だったのは、インターンの課題。

「自分なりに株を評価する手法を考えて、銘柄を一つ推奨すること」

準備して最後に社員の方達にプレゼンすることになっていた。

僕は、しっかりやるつもりではいた。

インターン中も色々と調べたし、考えてもいた。

当時、僕はまとまった金を持っていたので、

株については少し勉強して基礎的な知識はあった。

ファンダメンタル分析とかテクニカル分析くらいのことは知っていて、

多少齧っているからこそ、

株価が予測できないものである、ということもわかっていた。

でも発表の当日まで答えが出なかった。

僕「セブン&アイホールディングズを僕は推奨します」

社員「なぜ?」

僕「えーっと、社長の村田紀敏さんが何かやってくれると思うからです」

社員「、、、、、」

これで僕の発表は終わった。

たぶん、社員の人たちは度肝を抜かれたと思う。

他のインターン生たちは、取るに足らない発表ではあるが、

しっかりと準備をしていた。

それに比して、ここまで何もしてこないやつがいるのか、と。

僕は当時のことを今でも恥じている。

ちゃんと課題をした人たちは当時のことなど忘れているだろう。

でも、僕には強烈な教訓となった。

答えを出せなかったことはいい。

株の評価方法に正解などないのだから。

誰も予測などできないのだから。

そうだとしても、そこに至る考えの過程を説明し、

なぜ、適当に回答したのか、論理的に語るべきであった。

それができなかった僕は、未熟というに尽きる。

到底、外資系証券で通用するはずがない。

僕の頭には、こういう考えがあったのだ。

1。ファンダメンタルで考えようが、テクニカルで考えようが、理論的には株価は世界に公開されている情報全てを反映した値が時事刻々とついている。だからこそのマーケットバリューであり、それが将来上昇するか下落するかなどその時点の情報からは判断できない。なぜなら現在公開されていない情報を持たない限り、その予測はできないからである。

2。とするならば、値上がりをする銘柄を見つけることは、自分以外の誰もが知らない情報を掴む、ということに他ならない。そんなインサイダー的なことは、大学生の僕如きには不可能である。この課題自体がくだらない。ゆえに僕は準備をしなかった。

3。一方で、平均株価などの指標を見ると、長期的には世の中の株価は上昇傾向にあると言えるようだ。ならば、適当に一銘柄選んでも対して間違いではないだろう。

で、適当に選ぶにせよ、どうしてセブン&アイホールディングズを選んだのか。

当時、この持ち株会社はまだできて間もなかった。

僕はその当時のこの会社の積極的な動きから、社長が戦略的に事業を拡大させようとしていることをどこかで感じたのだと思う。

だから、この社長が率いていれば成長するであろう。

という結論に至ったのだと思う。

「人を見て、投資を決める。」

この投資手法で選んだ、と堂々と言えばよかった。

2006年当時、セブン&アイホールディングズの株価は4000円くらいで、そこから一年くらいずっと下がりっぱなしの2000円くらいまで落ち込んだ。

僕は選んだ銘柄すら間違えていた。

出会ったふっくら猫の女の子とは、香港で再開した。

僕が香港に赴任したての頃、彼女も証券会社の駐在員として香港に派遣されてきた。

インターンした通りちゃんと証券業界にいた!!!

運命的な再会!を期待したいところ。

何度か飲み会やパーティーで一緒になり、会話も交わしたけど、

結局、一歩踏み込んだ仲になることもなく、すれ違っていっただけだった。

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