北京に着いたのは朝6時だった。 北京、、、、大国の首都に着いたのだ。 北京はばかでかかった。計算外の巨大な街だ。 道路がとにかく広い。端と端にゴールを置けば、立派にベッカムがプレイできるだろう。 碁盤の目に道が張り巡らされた計画的な都市だ。 しかし、その計画の規模がでかすぎる。 地図ではほんの数センチの距離が歩くと何十分。へたをすると1時間はかかってしまう。 徒歩ではとても散策できる街ではなかった。 常にバスを利用しなければならない。 だが、ここは人の量も半端ではない。ほとんど常に満員ギュウギュウ詰めだ。 それだけで、北京を離れたくなる。 なんとか目当てのホテルの場所にたどり着いたが、あるはずのホテルがない。 何十キロに膨れ上がったリュックを背負ってひたすら道を右往左往した。 。。。ない。 仕方ないので、次の候補へ向かう。 1時間かかってやっとたどり着いたそこは、、、、潰れていた。 涙で街がにじむ。 宿をたらい回しにされ、ベットにありつけたときには正午を過ぎていた。 朝あんなに早くに着いたのに。。。 どうやら、北京はオリンピックのための開発真っ最中で急速に変化しているらしい。 以前あったものはどんどん壊され、次々に新しく生まれ変わっているのだ。 少し前の地図じゃ下手したら全く役に立たない。 ベットに横になりたかったが、休んでいる場合ではなかった。 今日ビザの延長をしなければ日本に強制送還されてしまう。 ちんたらちんたらと10キロを1時間以上かけて走るようなバスのなかでイライラしながら公安局にたどり着く。 手探りで書類を埋め、写真を取り、これもまた進んでるのか止まってるのかわからないような長蛇の列に並んでやっとのことでカウンターにたどり着いた。 [住宅証明書が必要です。] [は?] [ホテルでもらってきてください。] [はぁっ!?] めったにキレない僕も、どこにもぶつけることのできない怒りで爆発しそうになった。 ぐぁー!! 大急ぎでホテルと公安局を往復し、戻ってきた時には列の長さは2倍にふくれあがっていた。 まさか、これだけ並んでるのに、閉局時間が来たら無慈悲にシャットアウトってことはないよな? 本気で神様に時間が止まってくれることを祈った。 あと10人、9人、8、7、6、、、、、神様、もう少しだけ。。。 カウンターにたどり着いた。間に合った。。。 領収書を手に取る。 そしてちびった。。。 受け取りは一週間後だと?。。。。。。。。 涙で公安局がにじむ。 まぁいいさ。 それまでに北京を遊び尽くしてやる。 負惜しみを誰にともなくつぶやいて、 暗くなった道をホテルに引き返していくひとくんであった。 |
中国には数えきれないほど行ったけど、
ビザを延長したのは、この時が最初で最後。
中国の南端である香港を出発し、上海を経由しつつ陸路で北京まで行くのは、
長い旅だった。

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