めんどくさい。人間と関わるのはもううんざりだ。もうインドには耐えられない。 べちゃべちゃまとわりついてくるようなインド人にも、時に50度に達するような猛暑にも嫌気がさして僕は逃げ出した。 もう人間はいらない。だったらとことん大自然にいこう。目指すのはアフリカ大陸だ。動物たちと戯れるのだ。 そうして僕はここに来た。 日本から遠く離れた自分の人生に全く関係のなかった大陸へ。 またしても、何も準備せず、何の予定も立てずに来てしまったため、空港でビクビク。いったいここはどんな場所なんだ。周りは真っ黒な人ばっかりだ。おっかねぇ。 しかしなんのことはなかった。高級そうなバカでかい住宅街、高層ビル、おしゃれな街並み。ここはヨーロッパだ。大自然に囲まれたヨーロッパだ。 それどころじゃない。日本を離れて僕はこれほどまでに穏やかで落ち着いて満たされた日々を過ごしたことはなかった。 日が昇ると起き、日が沈むと眠る。ジープに乗ってサバンナにくり出せばそこは野生の大国だ。ゾウの家族が目の前を横切り、カバが湖の辺で居眠りをしている。レオパードが茂みに隠れてインパラを狙っている。夜になれば、ハイエナがエサを求めてテントの周りをうろうろ。その横で薪に火を起こして肉を焼く。 毎日月を見上げて過ごしているから、これから月が満ちるのか欠けるのか知っている。 僕はこの大地に恋をした。切ないはち切れそうな感情が胸を締めつける。この大地を、この手に抱きたい。 でも僕の短くて不恰好な腕には世界は広すぎた。 そんなとき、いったいどうしたらいいんだろう |
僕は、アフリカでアウトドアが好きになった。
大自然を感じる。
自然の中に埋没した時の、あの沸々と湧いてくるような高揚感。
旅してるぜって感じ。
最高だった。
このブログでは、大自然のワイルドさを賛美している。
でも、同時に感じていた言葉を書いていない。
たぶん、意図的に書いていない。
日本の友人たちに良いところだけを伝えたいという、インスタ感。
僕はこう感じてもいた。
ああ、これは、超贅沢なキャンプ体験。
ではあるけれど、結局、サファリパークのスゴイ版じゃん。
もはや、地球上にワイルドな世界など存在しないんじゃん。
どこも人間が管理している。
人間に管理され、守られ、商業として利用されているから、
アフリカの野生動物は、野生的な生活ができている。
大自然は、大自然として保存してもらえている。
守られ、管理されている野生。
それを野生と果たして言って良いのだろうか?
そうした現実の匂い。
僕は、しっかりとそういう匂いも感じながら、旅をしていた。
でも、ブログにはそのことは書いてなかった。
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