僕はかつて、電力業界で働いていた。
商社だけど、電力の部門にいて、
しかも自分のことを電力技術者と定義づけして働いていた。
どんどんニッチな世界に足を踏み入れつつ、
このスキルも経験も潰しが効かんなーと、頭の片隅に思っていた。
多分、商社の人はみんなジレンマに陥る。
専門的なことを身につければつけるほど、転職しにくくになる。
だから、経営とか、ファイナンスとか、
そういうオールラウンドのスキルを身につけたがる。
でも、大抵みな目指すところは同じなので、
その業界で見たら金太郎飴みたいなスキルセットの人たちが出来上がっていく。
そんな感じで同僚や先輩が金太郎飴スキルを身につける中、
謎にニッチに突き進む僕は、異彩を放った。
優秀な人ばかりの世界だった。
まともにスキルを競っては疲弊することは目に見えていた。
ニッチに突き進んだからこそ、僕は自分のポジションを獲得し、
自由に生きることができた。
会社を辞めることになって、
会社員11年間で身につけたニッチスキルはゴミになるんだろうと思った。
僕は転職を本気で考えたことは一度もない。
僕が持つニッチスキルを雇ってくれる会社が他にあるとは全く思っていなかった。
辞めるという時点で起業しか道がなかった。
それはそれで、ある意味よかったのかもしれない。
実際に、新しい仕事を始めてみて、
振り返ると、意外とサラリーマン時代に身につけたスキルが使えていることに気づいた。
そうはいっても電験3種は全く役に立っていないことは始めに書いとく。
役に立っているスキル1。会計とファイナンス
USCPA取っちゃうくらい、
ひたすら会計やってた時期も入社して3年くらいあるので、
会計は得意分野という感覚がある。
数字を見て、積極的に作れることは、会社を経営する上でとても役に立った。
というかこのスキルないと会社経営はやばい。
役に立っているスキル2。英語&中国語
民泊管理業をやっているので、宿泊客は外国人が多い。
お金を持っている人にも外国人は多い。
ビジネスしていく上で、言葉の壁がないことは大きい。
海外に8年いさせてもらえたことは感謝しかない。
実際に、資金調達も外国語が使えたおかげでできている。
役に立っているスキル3。アセマネ
当時は、発電所を買ったり、売ったり、経営したり、報告書を作成したりしていた。
今は、宿泊施設を買ったり、売ったり、経営したり、報告書を作成したりしている。
扱っている商材が違うだけで、アセマネスキルは同じ。
大きなアセットを買って経営して売るっていう感覚を得ていたことはとても大きい。
全てが発電所の簡単バージョン。
デカくて難易度高いプロジェクトがどうやってアセマネされていたかを知っていたら、
小さいプロジェクトをやるのは怖くない。
役に立っているスキル4。契約書
サラリーマン時代は膨大な量の契約書を読みまくった。英語で。
契約書を頭に入れなきゃ交渉に臨めないし、
ましてや交渉で勝つことは無理。
徹底的に契約書の内容を叩き込んで、文言で勝負する。
という経験は、現在、いろんな契約書を自分で作る中で役立っている。
これもやっぱりハイレベルな世界を見ていると、勘所がわかる。
経験してない人は多分、怖くてひょいひょい契約書作成なんてできない。
役に立っているスキル5。チーム運営
サラリーマンやったことない人を見ていて思う。
組織の運営がまるでできない。
大きな組織がどう動いていたのか肌感覚でわかっているか、
わかっていないかの違いは大きい。
海外駐在時代は、事業会社に出向していたので、中規模の組織経営のこともわかる。
大企業くらいの組織なると、ああいう書類を用意して、ああいうルールを作って、ああやって体制を作らないと回らないけれど、
今の組織はこのくらいの規模だから、こんくらいの書類で、こんくらいの適当なルールで、こんくらいの体制なら回る。
こういう肌感覚があるので、会社がどんどん成長してもその都度、割とその規模にあった組織づくりができる。
上司と部下の関係を経験していたことも意味がある。
ダメ上司にこき使われていたことも、いい上司から学んだことも、
自分が上司になって部下を指導してきたことも、
今は全部役に立っている。
役に立っているスキル6。サラリーマン経験
やっぱり、ビジネスマンとしての一般常識や振る舞いができることは大切。
それを知っているか、知らないかでは
ビジネスの現場で勝ち取れる信頼がまるで違う。
サラリーマンやめたんだから、今でもサラリーマン的振る舞いをする必要はないけど、
必要な時にできることはとても大切。
基本動作を押さえているからこそ、自信を持って自由に振る舞えるというのは確実にある。
サラリーマン経験による振る舞いができたことで、獲得できた案件が沢山あった。
役に立っているスキル7。エクセルとかパソコン
パソコンスキルも持っているのと、ないのでは段違いにできることが違う。
で、割と持ってない人が持とうとするのには時間がかかるのもこういうスキル。
息をするように使えるけど、これもやっぱずっとサラリーマンしてたから。
こんな感じで、会社辞めてもスキルや経験は割と役に立っている。
でもやっぱ、役に立ってるのは、汎用的なスキルばかり。
電力技術のニッチスキルは、活かせてないかなぁ。
あ、唯一、ガントチャート作ったりして、
スケジュール計画立てるスキルだけは多少役に立っている気がする。
発電所はメンテナンスしている時が一番無駄なので、
いかに1日、2日メンテナンスを短縮するかを、必死で考えていた。
ボトルネックの部分がスムーズになるように、
諸々調整して、期日通り、可能であれば早く終わらせるようにする。
的なこと。
まあ、サラリーマンやってたら当たり前に身に付きそうだけど、
こういうプロジェクト計画、スケジュール調整も重要だと思う。
経営というのはつまるところ時間を短縮させることが全てだから。
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